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のであったりするので、どのようにリンクさせていくのかが大変な問題であるように思います。自治体がやっているから大変だとか、ボランティア団体がやっているから、というのではなくて、ミヤレスさんの話にもありましたように、マネージメントをしっかりしていかないと、ただやっているというだけでは継続した良い活動ができないのではないかということを強く感じます。
そういう意味で、立ち上げたばかりでまだ問題が多いでしょうが、稲葉さんに現状を踏まえた上での、課題・問題がありましたらお話いただきたいのですが。

 

●人と人とのつながりを重視した土壌作り

 

稲葉 まだ見えない問題点をたくさん抱えている状態です。私も仲間の多くも仕事をして、例えば給料の中から住民税を払っている段階においては地域に貢献しているという感覚でいたのですが、実は仕事を離れてしばらくするとこの町に住んでいて、私はこの町のために何をしているのだろうと思うことがあります。そういう時に税金で納めるのではなくて、自分たちのできることで何かしたいという思いがあり、自分の住んでいる町がよくなるということは、自分たちにも良くなるだろうと思い、今活動しています。
私たちの住んでいる袋井市もニーズの少ない町であるということを行政から聞いていたので、いざ私たちが“助け合い活動を相互にしましょう”ということを言いだしても実際問題そういうケースが起こるかと疑問に思いました。会員の1人が「もし私の親が倒れてもあなた方に来てもらう前に、先ず自分のうちを片づけなければいけないからいやよ。とても台所なんて見せられないから来てもらわないよ」などと言うものですから、きっとそういった助け合い活動がここでは起こることがないだろうと思っていました。
ところが勉強をしながら台所も開放できるような土壌を作りながら、“2〜3年の内にぽつぽつ始められたらいいね”ということでスタートしましたのに、今年(96年)の4月27日に立ち上がって、5月の実績は100時間を超え、9月の実績は200時間を超えました。
ただ会員の拡大やニーズにうまく応えるために多少の苦慮をしております。そして、私たちの活動を知っている人から、市民の中でもしかしたら利用したいのに知らない人がいるのは不公平だからチラシ等でPRしたほうがいいという指示も頂いているのですが、もしその結果、沢山の人が利用したいといってきたらどう対応するのか、といったこともあるのでまだ足踏みしています。しかし、今検討中ですがもう少し動ける人を増し、ニーズに応えられる活動をしたいと思っております。
先ほど申し上げましたように私たちは、土壌作りのために定例会をして、学べる場を作っておりますが、お年寄りのケアや子どもの子守りに関してだけではありません。会員の方でたまたま資格をもっている方はいますが、特にそういったものも求めていません。定例会の学びの中では、一生懸命生きている人や病気に打ち勝ってたくましく生きている人、いろいろな意味で地域や町で動いている人を県内から呼び、皆さんに“こういう活動をしている人・こういう心を持っている人がいるんだよ”と、いうことを伝えようと土壌作りに励んでいます。これから先も、私達の団体は介護教室をしたりすることはないと思います。

 

 

 

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